■ 2025年第45回日本骨形態計測学会
■ 石灰化骨計測セミナーのご案内
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骨計測ソフトTRI/3D-BONを御利用頂き感謝申し上げます。
6月26日から28日に大宮ソニックシティで開催されます
本学会で石灰化骨の骨形態計測が取り上げられます。
お時間がありましたら、是非議論にご参加ください。
なお、ハンズオンセミナー パート2は学会参加者でなくとも参加可能です。
(1) 教育講演3
「CTで見える骨の姿〜CTスキャンから解析、骨組織形態計測との相補的な役割まで〜」
講師 : ラトックシステムエンジニアリング株式会社 南郷 脩史
長崎大学 千葉 恒
日程 : 6月27日(金)13時30分から14時30分
内容 : 南郷が主にμCT、動物の解析を担当し、千葉先生が臨床画像を担当します。
CTスキャン、再構成、計測ROI設定、2値化、計測項目選択など普段当たり前のこととして行っている手順をお持ちと思います。
客観性を出すためには、サンプル依存の手順変更は禁止されています。
しかし、解析の際に丈夫な骨と脆弱な骨が混ざっている場合などでは、同じ方法を適用すると結果が妥当でないと思えるケースが多々あります。
解析に当って出てくるそのような問題点を取り上げ、研究目的や原理、原則からどう考えられるか検討する機会に出来ると幸いです。
抄録内容
骨は代謝を行う内分泌臓器として重要であり、その研究は広がりを見せています。
X線CTは1973年にイギリスのEMI社のG.N. Hounsfieldらによって、脳の診断を目的に開発されました。
これが医療診断に革命をもたらし、6年後にはノーベル生理学・医学賞を受賞しました。
この技術の革新性は、受賞までの短い期間に現れています。
CTは、脳や臓器、腫瘍の診断において非常に重要な役割を果たしています。
CTで骨を見る場合、形状だけでなく、骨の石灰化度や力学的強度、時間経過に関する情報を得ることができます。
また、μCT(マイクロCT)が小動物の骨微細構造の測定に使われており、高い解像度を誇ります。
これにより、骨の3次元構造を簡単に把握し、実験群間で比較が容易になります。
しかし、計測においては再現性や定量性を確保する方法を守らないと、誤差が生じ、群間比較が難しくなる可能性があります。
この講演では、CT画像解析において定量性を保証するために考慮すべきポイントを紹介し、今後の研究に役立ててもらうことを目的としています。
取り上げる内容は、基本的な事項が中心です。
骨は代謝を行うため、研究においては2つの側面を考慮する必要があります。
それは、会計学で使われる「PL(損益計算書)」と「BS(貸借対照表)」に似ています。
PLは短期的な変動を示し、BSは蓄積された結果を表します。
骨の計測では、短期的な骨の吸収と形成の過程を「Histomorphometry(骨組織形態計測)」で調べ、現在の石灰化骨の状態をCT画像を用いて計測します。
以下の項目について、実際に役立つポイントを紹介します。
・サンプルの保管方法: 液中、気中、100%湿度中
・CT撮影の注意点: ビームハードニング、モーションアーチファクト除去、電圧、電流、被曝量
・再構成方法: 絶対値、相対値、ダイナミックレンジ
・ROI設定: 目的部位の設定、再現性の確保
・2値化: グローバル閾値、自動2値化、局所自動2値化の使い分け
・計測方法: ダイレクト計測、モデル計測
・指標: よく使われる指標、感度の高い指標
・研究分野特有の項目: 顎骨、歯、石灰化、人工骨、新生骨、骨折、骨破壊、高〜低石灰化骨、FEMによる骨強度、手術シミュレーション
・その他: 論文に記載すべき計測方法や注意点
これらの内容を取り上げ、より実践的な理解を深めることを目指します。
(2) ハンズオンセミナー レクチャーパート2
「CT画像を用いた3D骨形態計測指標の意味するもの」
講師 : ラトックシステムエンジニアリング株式会社 久保田 省吾、 南郷 脩史
日程 : 6月28日(土)7時45分から8時45分
内容 : 久保田がCTスキャンから骨計測までの手順を担当し、南郷が計測項目の詳細を担当します。
ノイズの低減、再現性、結果の妥当性を検討します。参加者の皆様と石灰化骨計測における問題点を共有できる場となることを願っています。
抄録内容
臨床CT画像は解像度に不十分な点があるものの、全身の骨病変部位を描出でき、治療効果の診断に使用されています。
マイクロCTは動物の摘出骨の微細構造を十分な解像度で描画することができ、薬剤が骨に与える影響も画像に含まれています。
現在では、CT画像計測は定量性評価に不可欠な方法となり、さまざまな研究テーマで使用されています。
2010年にはアメリカ骨代謝学会からげっ歯類の骨を対象にマイクロCT画像計測のためのガイドラインが提唱されました。
画像取得は装置の操作説明書に基づいて可能ですが、定量性を得るためにはビームハードニングやサンプル振れノイズの発生を防止し、
サンプルに依存しない絶対値再構成を行い、十分な画素値幅を持つ画像を取得する必要があります。
また、骨密度(vBMD)計測にはHAファントムが用いられます。
画像計測においても、計測ROI設定、骨抽出、画像ノイズ除去などの手順が適切であることが必要となります。
計測結果には、多くの研究で使用されている標準的な項目を含め、目的に応じた指標を適切に選択することが求められます。
本講演では、CTスキャンなどの前提条件について概説し、さまざまな計測指標を研究目的の観点から整理し、
実験群を記述するのに適した指標を定義に遡り、参加者とともに検討します。
検討内容は、ASBMR推奨指標(BV/TV, Tb.Th, Tb.N, Tb.Spなど)の他に、
骨粗鬆症に対して鋭敏な指標であるConn.D, 3D star volume, TBPfなどの有用性、
Node-strut解析指標の表現性、トータルボリュームTVの決定の重要性、2値化閾値と指標の関係、
絶対値を求めるか相対値でよいかなどです。

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Mail: info@ratoc.co.jp>